世の中には、「そのプレイじゃないと感じない」という人って結構いたりする。
自分の性癖ってなかなかあけっぴろげに人に話すことは難しいのだけれど、それは現実世界の話。
出会い系のハッピーメールやPCMAXなどを使うと、プロフィールにならぶたくさんの「嗜好」を見ることができる。
セックスしたい人が集まる場所には、必ずと言っていいほどそれに付随した性癖が並ぶのだ。
サイトに登録しているユーザーを眺めながら、そんなことを考えていた。
M男子との出会い
今まで自分はSなのかMなのかということを意識したことは無かった。
そういうプレイをしなくても十分に感じていたし、何度もイくセックスを継続的に行うことができていたからだ。
今までもSかMかを気にしたことは無かったし、きっとこれからも自分には関係の無いことだろう、なんて思っていたが、ある一人の男性に出会うことでその認識がガラッと変わることになる。
ある日、私のところに「ろうそくを垂らしながら言葉で攻め立ててほしい」というメールが来た。
プロフィールを見るとかなりのMらしく、「SMプレイじゃないと射精できません。でもSの方が射精するなと言うならしません」と書いてあった。
「私はSもMもわかっていないのでご希望に沿えるかわかりませんよ」と返信をしたが、すぐに
「初めてSになってもらって、新しい快感をおぼえて欲しいです。不慣れでもかまいません」とメールが来た。
私の何かに惹かれてメールを送ってきたのかもしれない。
どんなことになるのかわからないまま、とにかくM男と会うことにした。
ごく普通の人
待ち合わせ場所に行く時、Mの男性っていったいどんな感じなんだろう、と考えていた。
痛いことや恥ずかしいことで喜ぶのなら、普段の服装なんかもMっぽい(?)感じなんだろうかと勝手な想像を膨らましていた。
実際に会ってみると、色白でちょっと小太りの、同じくらいの年齢の男性だった。
もしかしたら強面の人が来るのかな…など、いろいろ考えていたところだったから少し安心をしたのを今も覚えている。
ホテルまでの道中も、普通の会話をしていた。
変態性を感じることもなく、この人は本当にMなんだろうか?などと思ったりしたが、それは杞憂だった。
踏んでください
ホテルの部屋に着くと、M男は土下座を始めた。
「どうか僕の顔を踏んでください、お願いします」と。
お願いされるのは好きなのだけれど、今回のお願いは正直かなり悩んだ。
人の顔を踏んだ経験など今まで全くなかったからである。
少し迷うような感じをしていたら、M男は「大丈夫です。踏まれて怒ることは決してないので。むしろ強く乱暴なほど興奮するし勃起してしまうんです…お願いします…」と。
まだ迷いの気持ちはあったが、「これは合意でするのだから大丈夫だ」と自分に言い聞かせて、Sとして
M男に接してみることにしたのだった。
進むSプレイ
まず、M男の顔を踏んでみる。
M男は喘ぎながら勃起させているので、ついでにちょっと強めに乳首をつねってみた。
更に喜びの声を上げて喘ぎ、身をよじらせている。
こ…これは…
ちょっと楽しいかもしれない…。
私は自分の中に潜在的にSっ気があることに少しずつ気付き始めた。
M男が喜んでいるところを見て「もっと踏みつけたい」という気持ちが芽生えてきたのが
証拠だ。
最初にM男の顔を踏んだ時は、靴を脱いで踏んだのだけれど、少し考えて靴を履いた。
今日は5センチのヒールを履いていたので、それで踏んでみようと思ったのだ。
ヒールでM男を踏みつけると、悲鳴に近いくらいの喘ぎ声をあげた。股間には全く触れていないのに
ギンギンに勃起して我慢汁がものすごいことになっている。
きっと股間に触れるとか、セックスをする、というよりは、こういうプレイで射精をしたいんだろう。
そう思って、体には触れずに靴で踏みつけ、お尻を平手打ちしてみたり、洗濯ばさみで乳首を挟んでみたりと、自分が考えてできるようなSプレイを続けてみた。
いろんなプレイを試してみる中で、M男の興奮も最高潮に達してきたようだ。
「射精したい…射精をさせてもらってもよろしいですか…」と、かすれ声で言うM男に
「まだだめ。我慢しなさい」というと「わかりました…」と言う。
自分の快感よりも、Sの命令は絶対なのだ。
欲望のままに射精することもできなくはないのに、Sからの指令を守ることが最優先で、それを守ることが快感にも繋がっている。
ものすごい世界だと思ったし、Sとして向き合っている自分にも万能感のような快感が生まれてきたこともすごいと思った。性の世界はまだまだ奥深い。
長くいろんなSプレイをして、最後はM男に射精するように言った。
「射精させていただきます…ッ」と言って出したそれは、ものすごく量と勢いがあるものだった。
一連のプレイが終わった後、M男がわたしに「Sの才能、かなりありますよ」と一言。
実際に私に会いたいと思ったのも、プロフィール欄から、どことなく漂う「S」の雰囲気を感じ取ったかららしい。
M男の持つ「嗅覚」は、かなり効くのではないかと思ったのだった。