こんにちは、蒼樹リュウスケです。
私はもともとは「エロ本編集者」として働いていて、現在ではそのときの経験を活かしてエロ系コラムを書いたりしています。
それにしても、もはやエロ本も絶滅危惧種。
エロ本編集者をしていた私も、同じく絶滅危惧種……というわけで、ちょっと思い出話でも語りたいと思います。
「素人投稿エロ本」の投稿写真はヤラセではない!
私がエロ本業界に足を踏み入れて、最初に関わったのが「素人投稿エロ本」でした。
現在では『新生ニャン2倶楽部』(マイウェイ出版)が細々と続いている程度の素人投稿エロ本ですが、最盛期は40誌近くが毎月本屋に並ぶ、一大人気コンテンツだったんです。
私が関わりだした頃はもうすでに最盛期は過ぎていましたが、それでも毎月複数の素人投稿エロ本が出版され続けていました。
その頃、私が一番聞かれたのが「素人投稿エロ本って、ヤラセじゃないの?」との質問です。
ヤラセ、つまり「編集部が撮影をして、それを素人投稿として掲載しているんじゃないの?」という意味ですね。
これははっきりと「NO」、ヤラセではない、と答えられます。
毎月100人から200人近い「女性のハメ撮り写真」が編集部に届いていた
私が働いていた素人投稿エロ本編集部には、毎月100人から200人近くの女性のハメ撮り写真が届いていました。
投稿者自体の数は、何人もの女性とのハメ撮りを投稿してくる「ナンパ系投稿者」もいましたので、それよりも少なくなりますが。
それだけの数の投稿があれば、毎月1冊エロ本を作るなんて、まさにお茶の子さいさいレベルです。
しかも最盛期には毎月、さらに多くのハメ撮り写真が届いていたのですから、わざわざヤラセをおこなう必要なんてなかったんです。
ヤラセをするより投稿写真でエロ本を作ったほうが安い
編集部でヤラセ写真を撮影するより、本物の素人投稿写真でエロ本を作ったほうが圧倒的に安く済む、この理由のほうが大きいでしょうl
ヤラセ写真を撮影するのは、簡単ではありません。
モデル(女優と男優)、カメラマン、メイクなどスタッフを手配して、スタジオを予約して、と考えると、1回の撮影に30万円はかかります。
女優以外を編集部員で、スタジオは安いホテルで……など、どんなに費用を抑えても5万円はかかるでしょう。
雑誌に掲載する女の子は、毎月80人から100人近く。
もちろん撮影費だけでなく、雑誌制作にはさらにさまざまな費用がかかってきますから、制作費だけでとんでもない額になってしまいます。
わざわざ赤字になるようなやり方でエロ本を作るのを許してくれるような出版社は、さすがに存在しませんよね。
どうして素人の男女がが自分たちのハメ撮り写真を投稿してきたのか?
「素人投稿エロ本がヤラセではないのか」と疑う理由は、素人の男女が自分たちのセックスを撮影した写真を出版社に送ってくるはずがない」と、どうしても思ってしまうからでしょう。
私も実際に働き始めるまでは、そんなに大勢の男女が写真を投稿してくるとは考えていませんでした。
しかし働いているうちに、写真を送ってくる投稿者には3つの理由がある、と判明したのです。
①自分たちのハメ撮り写真をプリントしてほしい人
私が編集部に入った当時は、まだデジカメよりもフィルムカメラが主流でした。
フィルムの現像はカメラ屋に頼むものでしたが、無修正のハメ撮り写真の現像は、断られることがほとんどだったのです。
そこで代わりに、素人投稿エロ本編集部が現像して、写真を投稿者に送り返してあげていたんですね。
編集部はエロ本が作れてうれしい、投稿者はエロ写真の現像をタダでしてもらえてうれしい、win-winの関係が築かれていたわけです。
②掲載料がほしい人
素人投稿エロ本に掲載されると、投稿者に出版社から掲載料が渡されました。
掲載料は雑誌によって違いましたが、大体1ページあたり1万円程度でしょう。
「それっぽっち?」と思うかもしれませんが、複数の雑誌に写真を送って掲載されれば、それなりの額になります。
特に何人もの女の子とのハメ撮りを送ってくる「ナンパ師系投稿者」になると、毎月1冊の雑誌に5人くらいの女の子との写真が掲載されていました。
トータルすると、サラリーマンの月収くらいは毎月掲載料として受け取っていたナンパ師系投稿者も多かったのではないでしょうか。
③とにかく自分たちのハメ撮りを見られたい人
「誰かに自分たちのエロい姿を見てほしい!」と考えている夫婦やカップルも、多くいました。
こういった投稿者は、見られたいあまりにどんどんプレイがハードになっていきます。
普通のハメ撮りから、SM、野外露出など、こちらが心配になるような激しいプレイをするようになるんですね。
とにかく「見られて興奮する性癖」の人が多く、なかには「免許証の写真を、住所などもそのままで掲載してください!」なんてお願いが来ることも。
さすがにそれは編集部で自粛しましたが、人間の性の過激さ、終わりのなさを感じさせられる人たちでした。
編集部と投稿者の信頼関係で成り立っていた素人投稿エロ本
素人投稿エロ本は、ほぼ純度100%、本物の素人投稿で成り立っていた、と言えます。
ただしエロ本には、素人投稿エロ本のほかに「素人系エロ本」、AVの「素人モノ」の素材を使って作られ、タイトルに堂々と「素人」と書かれていたものもありました。
そういった素人系エロ本と素人投稿エロ本がごちゃまぜになって、素人投稿エロ本はヤラセだ、との話が出てきたのかもしれませんね。
実際のところ、素人投稿エロ本の編集部には使いきれないほどのエロ写真が投稿されてきていました。
それは編集部と投稿者の間で、しっかり秘密を守って写真を使うという信頼関係が成り立っていたため、と言えるのです。