こんにちは、元エロ本編集者の蒼樹リュウスケです。
現在の雑誌業界では、ファッション誌やグッズ情報誌などに、さまざまな付録が付いてくるのが常識のようになっていますね。
なかには「グッズのおまけに小冊子が付いてくる」としか言えないような雑誌まであって、元雑誌編集者としては少々複雑な気分になることもあります。
さて、私がまだ現役のエロ本編集者だった時代の話です。
さまざまなエロ本がまだ頑張っていましたが、そんななかで一気に「パンティ付録」が拡がったタイミングがありました。
現在ではエロ本の付録と言えばDVDですが、当時は「エロ本の付録と言えばパンティ」の時代だったのです。
なぜエロ本の付録にパンティが流行したのか、現在では不思議なくらいバカ売れした、そんな当時のことをちょっと思い出してみましょう。
「パンティ付きエロ本」はなぜ誕生してなぜ消えていったのか?
パンティ付きエロ本は、本当によく売れました。
売り上げ不振で休刊寸前だったようなエロ本が、パンティ付録で息を吹き返した、なんて例もあったようです。
そんなパンティ付きエロ本は、一体どのように誕生して、なぜ消えていってしまったのでしょうか?
パンティ付きエロ本は「読者プレゼント」をヒントに誕生した
エロ本には、読者プレゼントのコーナーがつきものです。
プレゼントの内容は、AVメーカーから提供されたDVDや、大人のオモチャなどさまざまでしたが、そのなかでとくに人気があったのが、エロ本に掲載されている女の子が着用したりサインを書いたりした「パンティ」でした。
そんなパンティの人気っぷりに、あるエロ本編集者が気付いたんですね。
「じゃあ、パンティを付録にしちゃえばエロ本が売れるんじゃね?」と。
実際に試してみると、パンティを付録にしたエロ本はバカ売れ。
それを知った各エロ本出版社が、我も我もと真似をしてパンティを付録にしだしたわけです。
どんどん加熱する「付録パンティ」の世界
最初は1枚、2枚など少なかったパンティプレゼントですが、どんどんパンティ付きエロ本が増えていくにしたがって、どんどん競争が加熱化していきます。
「パンティ10枚!」「パンティ15枚!」「じゃあこっちはブラとパンティのセットだ!」「ならばこっちはコスプレ衣装を付ける!」
……なんて感じで、関係者ながら笑ってしまうほどでしたね。
「もう、エロ本屋じゃなくてパンツ屋だな」
そんな風に、自虐的に語っているエロ本編集者も少なくありませんでした。
パンティ付きエロ本が終焉した理由は「目立ちすぎた」から?
まさに「一時代を築いた」と言っても過言ではない、パンティ付きエロ本。
しかしその時代は、2007年くらいから2010年くらいまで、とそれほど長く続くものではありませんでした。
エロ本業界の救世主であったはずのパンティ付きエロ本は、なぜ消えて行ってしまったのでしょうか?
目立ちすぎてコンビニから嫌われてしまった
今から考えるとスゴイ時代ですが、当時はコンビニの雑誌棚で「パンティ付きエロ本」が堂々と売られていました。
しかしその存在が世間的に話題になるにしたがって、その存在をイヤがる人たちからコンビニに苦情が入るようになってしまったようです。
そのためコンビニから嫌われてしまい、コンビニで売ること自体ができなくなった、と言われています。
当時のエロ本は「コンビニで売れなければ利益が出ない」状態でしたので、コンビニで売れなくなったパンティ付きエロ本は自然消滅してしまったわけです。
読者から飽きられてしまった
大人気だったパンティ付きエロ本ですが、大量にパンティが付録になるようになったため、1枚1枚のパンティの質が低下してきた事実もありました。
海外から大量生産のパンティを輸入していた出版社が多いのですが、そのパンティは薄っぺらくて伸縮性もない粗悪な布を使っていたり、縫製が甘くて最初からほつれていたり、謎の異臭がしたり……。
付録パンティを楽しみにしている読者から「なんだコレ!?」と思われるような質のパンティも多かったのです。
また「シミ付き!」「着用済み!」なんて表紙にデカデカと書いてあるようなパンティ付きエロ本もありましたが……実際には輸入したパンティをそのまま付録にしただけ、なんて「パンティ詐欺」と言われてもおかしくないようなエロ本もありました。
これらの事実が積み重なって、パンティ付きエロ本は消えていったと考えられます。
現在でも「パンティ付きエロ本」の系譜は受け継がれている
それでは現在、もう「パンティ付きエロ本」は完全に消えてしまったのか……と言えば、そうではありません。
パンティ付録はさすがにほぼ見られなくなりましたが、読者へのパンティプレゼントはもはや数少なくなったエロ本の世界では、脈々と受け継がれています。
また現在も大量のパンティが消費されているのが、AVの世界。
特典にパンティを付けた「パンティ付き限定DVD」が大人気で、人気女優の作品は予約開始するとすぐに完売してしまうほどです。
実際に女優が特典パンティを着用している生写真が付属してくる場合もあり、購入者にとってはまさに「妄想がはかどる」アイテムとなっています。
このように、現在はもう失われてしまった「パンティ付きエロ本」の文化は、形を変えて生き残っている、と言えるのです。
……しかし、それほどまでに男たちの心を掴んで離さない、パンティという存在。
まさに「魔性の布」ですね、恐ろしい恐ろしい。