昔から私の周りにはゲイや女装趣味の知人、友人が何人もいました。とはいえ、私自身はノンケなので、そういった人たちと恋愛関係になることはありませんでした。
初めてゲイの男性と出会ったのは20代の頃。美容師をしている年上のお洒落な感じの人でした。
当時、私は友人とバンド活動をしていて、練習スタジオやライブハウス、タトゥースタジオなんかに出入りしているうちに、なんとなくそういった人たちと知り合いになっていったのです。
その美容師の男性の周りにはレズビアンの女性やバイセクシャルの人もいて、その人たちが主催するちょっとしたパーティーに参加させてもらったこともありました。
女装家の男性に夜道で尻を鷲掴みされた!
私はゲイや女装趣味の人たちに対して偏見などこれっぽちも持っておらず、恋愛関係になることはないものの、知人や友人としてこれまでも普通に付き合ってきました。
一方で、どういうわけか、ゲイや女装趣味の男性から言い寄られたり、体を触られたりすることもよくあるのです。ひょっとすると私は、同性愛者と勘違いされやすいタイプなのかもしれません。
10年来の知人で、女装家の朱美さん(仮名)という人がいます。私のコラムにも2回ほど登場したことのある人です。
朱美さんは身長が180㎝あるにもかかわらず、いつも8㎝くらいのヒールを履いているので、けっこう威圧感はありますが、親切で人情味のある人です。
知り合いのバンドが出演するライブ会場で、朱美さんのほうから声をかけてきたのが最初の出会いでした。
女装姿の男性にあまり抵抗がなかった私は(とはいえ、大柄な朱美さんが突然目の前に現れた時はちょっと圧倒されました)、共通の音楽の話、私が勤めていたデリヘルの話なんかで盛り上がり、すぐに親しくなりました。
その帰り道、私は朱美さんからお尻を触られました。いきなり鷲掴みされたのです。さすがに驚きましたが、何のためらいもない触り方がかえって潔く感じられ、私もそれほど不快には思わなかったのです。
「あんた、なかなかええケツしとんなぁ。プリケツやん」
朱美さんは人けのない夜道で大きな声でそう言い放ったあと、「焼き鳥でも食べて帰る?この近くにいい店知ってんねん」と言いました。
朱美さんに誘われ、深夜まで焼き鳥を食べてビールをがぶ飲みし、べろべろんになって帰ったのを覚えています。
それをきっかけに、私と朱美さんの付き合いは始まりました。もちろん共通の趣味を持った普通の友達としてですが…。
この数年のコロナ渦でまったく会わなくなってしまいましたが、毎年必ず、彼から暑中見舞いや年賀状が届きます。
ゲイの男性にチンコをガン見され…
バンド活動をしていた頃に知り合ったマコトさん(仮名)というゲイの男性。彼はバンドマンではなかったのですが、よくライダースの革ジャンを着ていた、パンクぽいファッションを好む人でした。
私は梅田のとあるビルのトイレの中でマコトさんにチンコをガン見されたことがありました。立って小便をしているとき、彼が隣にやってきて、いきなり私の下半身を覗き込んできたのです。
マコトさんは「へぇ~」と言い、ひとりで納得したようにうんうんと肯いていました。
あまりに唐突だったのと、何が「へぇ~」なのかよくわからず、私は少々混乱してしまい、チンコも通常の半分くらいの大きさまで縮んでしまいました。
あのときの出来事は朱美さんにお尻を鷲掴みされたよりもショッキングでした。私が今でも公衆トイレで小便器の前に立つと、つい隣を気にしてしまうのは、あのマコトさんの「へぇ~」のせいだと思っています(笑)。
エレベーターの中で男から痴漢被害に遭う
朱美さんやマコトさんだけではありません。道を歩いていると、見ず知らずの女装姿の男性から、すれ違いざまに腕を触られたこともありました。
ちょっと怖い思いをしたこともありました。風俗へ遊びに行った帰り、ビルのエレベーターに乗り込むと、ホスト風の若いイケメン男性がいました。
その男が私を見てニヤッと笑いました。あきらかに色目を使うような感じだったので、嫌な予感がしました。これまでの経験から、おそらくゲイの男性だろうと思いました。
すると、その男が後ろからお尻を触ってきたのです。私が驚いて飛び退くと、男はいきなり背後から抱きついてきたのでした。一瞬、この男に殺されるのではないかと思いました。
ちょうどタイミングよくエレベーターの扉が開き、私は男を振り払うと、一目散に駆け出しました。あのときは本当に怖い思いをしました。
やはり、私はゲイと勘違いされやすいタイプなのか、あるいはそういう人たちに好かれやすい雰囲気を持っているのかもしれません。
チンコを見せつけてくる若い男性客
学生時代、ちょっとの間でしたが、販売ビデオ店でバイトをしていたことがありました。週に2回、私はひとりで深夜勤務をしていました。その時間帯にやって来る客は、ほぼ100%エロ本かAVが目当てでした。
私が勤務しているときによく来る、イケメンのちょっと嫌な感じの目つきをした若い男がいました。その男はレジにやって来ると、いつも私の顔を見てニヤッと笑うのでした。
その当時の販売ビデオ店のレジというのは、どういうわけかバーコードに対応しておらず、商品のタイトルと品番をノートに手書きで記入してからレジで金額を打つ、というやり方をしていました。
「二人だけの秘密 もう熱いの、開いてナメて…」とか「競泳水着インストラクター マ〇コをヒクヒク痙攣させて」などと記入していると、その男性客が何を思ったのか、いきなり自分のズボンを下ろし、セクシーなビキニを見せつけてきたのでした。男の股間は大きく盛り上がり、ビキニから亀頭の部分が飛び出していました。
変態客にはかかわらないほうがいいと思い、私はできるだけそちらを見ないようにしていました。すると男は、下着までずり下ろし、チンコを見せつけてきたのです。
男のチンコは大きく黒々としていて、ガッチガチにそそり立ったそれは、まるで自動車のシフトレバーのようでした。支払いを終えて店を出るまでのあいだずっと、男はチンコを露出したままでした。
その男から色目を使われたり、下着やチンコを見せつけられたことは複数回ありました。男はいつもオレンジとか黄緑といった派手な色のセクシー下着をはいていて、ズボンをずらしたときにはすでにフル勃起している状態でした。
そのことを店主に伝えると、「時々そういう客がいるけど気にするな。身の危険を感じたら警察を呼べ」と言われました。店主の話では、以前、深夜にやって来た若いカップルが店内でハメ撮りをしていたこともあったのだとか。
男性講師からのアプローチに困惑
私が塾講師の仕事をしていたときの話です。塾講師の中には小学生の女子生徒にわいせつ行為をはたらくような変態男性講師もいれば、男子中学生に手を出す痴女講師もいました。
いっぽうで、ゲイの男性講師というのもいて、意外とこのタイプも少なくないのかもしれません。学生時代に塾講師のバイトをしていた友人たちからも、ゲイの講師がいたという話を何度か聞かされたことがありました。
私が勤務していた塾にもゲイの男性講師が2人いて、彼らが密かに交際している噂は以前からありました。
ふたりのアブナイの現場をまたまた盗み聞きしてしまったのは、私が授業中に急にウンコをしたくなり、トイレに駆け込んだときのことでした。
ほとんど我慢の限界まで来ていた私は、手の空いている講師に授業を代ってもらい、ひとつ下の階にある男子トイレまで走って行ったのでした。あと少し遅かったら漏らしていたところでした。
個室に入って用を足していると、男性ふたりの話し声が聞こえてきました。口調や声の感じから、すぐに同僚の若手講師Mと中堅講師Sだとわかりました。
ガサゴソと何かがぶつかり合う音や衣擦れの音が聞こえてきたと思うと、思わずゾクッとしてしまう甘~い囁きが漏れ聞こえてきたのでした。
私が勤務していた塾では、最終コマの授業が終わると、生徒の送り出しをすることになっていました。生徒が寄り道などしないように注意喚起するためです。
その日の送り出し担当は私とMのふたりでした。Mとペアになるのは初めてでした。彼がゲイであることなど、私はまったく気にしていませんでした。
ところが、Mの態度がいつもと違い、私に対してえらく馴れ馴れしいのです。普段は堅苦しいくらいの敬語を使う彼が、この日はほとんどタメ口に近い話し方をしてきました。
周囲に生徒の姿が見えなくなり、そろそろ引き上げようと思ったとき、Mが体を寄せてきて、「あー、さむーい」と女子みたいな口調で言いながら私の背中をさすってきたのです。
たしかに寒い日ではありましたが、このときのMの態度はあきらかに私に対する好意だと感じました。
その後も、送り出しで一緒になるたびに、Mは私に対して馴れ馴れしい接し方をしてきました。しかし、女装家の朱美さんたちとの付き合いでそういうことに慣れていた私は、あまり気にしていませんでした。
ある日、最終コマの授業がなくなり早上がりすることになったとき、またまたMもその日は早上がりだったようで、ふたりで一緒に教室をあとにしました。
私が最寄り駅まで歩いて向かっていると、自転車に乗ったMがうしろから声をかけてきました。
「なかぞのせんせー、ぼくが駅まで送りますぅー」
私を自転車のうしろに乗せようとするM。私は恥ずかしいからと言って断りましたが、彼はどうしても私を駅まで送って行くと言って聞きませんでした。
仕方なく彼の自転車のうしろに乗せてもらうことになったのですが、運が悪いというのか、たまたまそれを、ある中学生の男子生徒が目撃していたのです。
私がMと自転車に二人乗りしていたという話はすぐに同じ塾の中学生たちのあいだで広まり、さらにそこに尾ひれがついて、私とMが付き合っているなどと、根拠のない噂話までする生徒も出てきたのでした。
男性どうしの三角関係トラブル
そんな一部の生徒の噂話に敏感に反応したのが、Mと交際していたもうひとりのゲイ講師Sでした。
ある夜、仕事を終えてエレベーターで降りていくと、1階の喫煙スペースでSがタバコを吸っていました。彼は私のほうへ歩いてくると、こわばった表情でこう聞いてきたのでした。
「なかぞのさん、Mと付き合ってるんですか?」
タバコを持つSの指先が小刻みに震えていて、私は彼に殴られるのではないかと思いました。
「そんなわけないでしょ。あの日は寒かったから、Mが気を利かして駅まで送ってくれただけですよ」
「本当にそれだけですか?Mとは何もなかったんですか?」
「ないない、絶対ない。だから安心してください」
Sは納得したようで、それ以上のトラブルに発展することはありませんでした。三角関係に巻き込まれずに済んで、私もほっとしました。その後もふたりは順調に交際を続けていたようです。