今と昔の昏睡レイプ物の違い
僕と同じマンションに、吉野というバイセクの男が住んでいた。
吉野とは、エレベーターの前などで会えば軽く会釈する程度の付き合いだった。
もっとも、その頃はまだ彼がバイセクだとは知らなかったわけだが。
吉野は、痩せて背が高くて青白い顔をしていた。仕事は何をしているのかわからない。
意外なきっかけ
あるとき、マンションの駐車場で口論する声が聞こえるので行ってみると、吉野が3人の高校生に絡まれていたんだ。
3人はよくこのへんにたむろしている連中だった。
「おい、何してるんだ」
僕はフェンスに体を隠して低い声で怒鳴った。
すると、「ちっ」と舌うちして3人はどこかへ消えた。
「おかげで助かりました」
「いやいや」
喧嘩なんてからきしダメな僕は、これだけで心臓バクバクだった。
吉野と話をしたのはこのときが最初だった。
「じゃあ」と言って別れ際、
「あー、もう行く気しなくなったなー」
僕は独り言のようにつぶやいたんだ。
すると吉野が聞いてきた。
「どこか行く予定だったんですか」
「いや、ピンサロでも行こうと思ってたんだけどね」
「そうですか」
すると吉野は僕の顔を見て、意外なことを言ったんだ。
「助けてもらったお礼に、男の俺でよかったらフェラしましょうか」
男にフェラしてもらう
「は?」
「あ、すいません、気分悪くしたらごめんなさい」
「いや、そうじゃないけど、あんたゲイなの?」
「いいえ、違います。僕はバイセクなんです」
「ああそうか」
「どうします?」
「ほんとにいいの?」
「いいですよ」
ってことで、やってもらうことにしたんだ(笑)
じゃあすぐにってことで、マンションの隅にある焼却炉の裏へ。ここなら、めったに人は来ない。
僕はズボンを下ろして、ボイラーのタンクにもたれるようにしてペニスを出した。
ちょうど蒸し暑い夏の日だった。
「汗かいてるけど」
「平気だから」
吉野は、このへんから急にため口に変わった。男に握られたのは初めてだけど、相手が誰でも立つんだな(笑)
吉野はなかなか上手ったよ。目を閉じてりゃ女と変わらない。だけど、目を閉じるわけにはいかないんだ。
僕は見張り役も兼ねていたからね。こんな場面をマンションの誰かに見られたら、もうここにはいられない。
最後は夕焼けに染まる入道雲を見ながら、吉野の口の中に射精した。
ペーッ、ペッ
吉野はしゃがんだまま、地面に精液を吐き出した。
「それじゃ」
「ん、ありがとう」
AVに誘ってみた
僕は一応お礼を言ってその場は別れた。それから一週間後、僕は吉野の部屋のドアポストに電話番号を書いたメモを入れた。
その夜、電話があった。
「どうしたの。またしてもらいたくなった?」
「いや、そうじゃないけど」
僕はAVカメラマンであることを告げた。そして、こう続けたんだ。
「もしよかったらAVに出てみないか」
「面白そう」
吉野は僕の申し出に、すぐ飛びついてきた。
AVにバイセクを登場させてはどうだろう。僕はそう思って監督に提案してみたんだ。
すると監督は二つ返事でOKしてくれた。男優2人と女優の3Pモノで、もちろん男優のうち一人は吉野だ。
これまでにないAV
普通の3Pなら男優2人が女優と絡むわけだけど、バイセクは男も女もOKだから、吉野は男優にもフェラするわけだ。
きっとこれまでにない面白いAVになるというのが、僕の構想だった。
ところが、これがイマイチだった(笑)それは吉野の演技力のなさが原因だった。
企画自体は面白いので、制作側は「そのうちブームが来るかも」なんて言っていたけど、結局2本作っただけで打ち切りとなった。
理由は吉野が降りたから。彼は「AVが性に合わない」と言って3本目の仕事は断った。
それからしばらくたって、吉野は引っ越した。最後に引っ越し先のメモくれたけど、連絡を取ることはなかった。
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